■【主張】富田長官メモ 首相参拝は影響されない
http://www.sankei.co.jp/news/060721/morning/editoria.htm
昭和天皇がいわゆる“A級戦犯”の松岡洋右元外相らが靖国神社に合祀(ごうし
)されたことに不快感を示したとされる富田朝彦元宮内庁長官のメモが見つかった
。昭和天皇の思いが記された貴重な記録だ。
昭和天皇が松岡元外相を評価していなかったことは、文芸春秋発行の『昭和天皇
独白録』にも記されている。富田氏のメモは、それを改めて裏付ける資料だ。メモ
では、昭和天皇は松岡氏と白鳥敏夫元駐伊大使の2人の名前を挙げ、それ以外のA
級戦犯の名前は書かれていない。
靖国神社には、巣鴨で刑死した東条英機元首相ら7人、未決拘禁中や受刑中に死
亡した東郷茂徳元外相ら7人の計14人のA級戦犯がまつられている。メモだけで
は、昭和天皇が14人全員のA級戦犯合祀に不快感を示していたとまでは読み取れ
ない。
政界の一部で、9月の自民党総裁選に向け、A級戦犯を分祀(ぶんし)しようと
いう動きがあるが、富田氏のメモはその分祀論の根拠にはなり得ない。
天皇の靖国参拝は、昭和50年11月を最後に途絶えている。その理由について
、当時の三木武夫首相が公人でなく私人としての靖国参拝を強調したことから、天
皇の靖国参拝も政治問題化したという見方と、その3年後の昭和53年10月にA
級戦犯が合祀されたからだとする考え方の2説があった。
富田氏のメモは後者の説を補強する一つの資料といえるが、それは学問的な評価
にとどめるべきであり、A級戦犯分祀の是非論に利用すべきではない。まして、首
相の靖国参拝をめぐる是非論と安易に結びつけるようなことがあってはなるまい。
昭和28年8月の国会で、「戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議」が全会
一致で採択された。これを受け、政府は関係各国の同意を得て、死刑を免れたA級
戦犯やアジア各地の裁判で裁かれたBC級戦犯を釈放した。また、刑死・獄死した
戦犯の遺族に年金が支給されるようになった。
戦犯は旧厚生省から靖国神社へ送られる祭神名票に加えられ、これに基づき「昭
和殉難者」として同神社に合祀された。この事実は重い。
小泉純一郎首相は富田氏のメモに左右されず、国民を代表して堂々と靖国神社に
参拝してほしい。
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