判決要旨
http://www.iwate-np.co.jp/newspack/cgi-bin/newspack.cgi?detail+CN016_1
マンション住戸への政党ビラ配り事件で、東京地裁が28日に無罪を言い渡した
判決の要旨は次の通り。
【住居侵入罪の成否】
廊下、エレベーター、階段などの共用部分は住戸部分と空間的にも極めて密接な
関係にあり、無関係な者が自由に立ち入ることができない。住戸部分と不可分一体
で利用される共用部分についても「住居」に当たると解するのが相当。
犯罪目的や準じるような不法目的で立ち入るのは「正当な理由」のない侵入であ
ることは明らか。しかし本件のように不法目的でない場合、どのような時に許され
るかは共同住宅の形態、立ち入りの目的・態様などに照らし社会通念を基準として
法秩序全体の見地からみて判断するほかない。
ビラは共産党の都議会、区議会での活動内容などを伝えるもの。受領で住居の平
穏やプライバシーを侵害されるとの危惧(きぐ)や不安感を抱くことは少ない。昼
間の時間帯で誰にもとがめられることなく立ち入っており、滞在もせいぜい7−8
分。
都市生活者を中心に防犯意識、プライバシー意識に敏感な居住者が増え、オート
ロックシステムを備えたり立ち入り禁止を明示した看板を掲示し、共用部分が私的
領域の性格が強くなってきていることは否めない。
しかし現時点ではドアポストに配布する目的で、昼間に通路や階段などに短時間
立ち入ることが明らかに許容されない行為であることに、社会的合意が確立してい
るとは言い難く、社会規範の一部とは認められない。
【立ち入り禁止合意】
いかなる者の出入りを許すかは各マンションで自由に決められる事項。対外的に
明示されていて、その明示の警告に従わずに立ち入れば住居侵入罪が成立する。本
件マンションでは、管理組合理事会で葛飾区の広報誌を除いて部外者が共用部分に
立ち入ることを禁じる決定をし、管理人に指示。被告の立ち入りは客観的には理事
会の決定を通じて形成された住居権者の意思に反する。
【外部的表示の有無】
1階玄関ホール内の掲示板に広告の投函(とうかん)や部外者の立ち入りを禁じ
る趣旨の張り紙があるが、主として商業ビラの投函を禁止する趣旨であるかのよう
にも読み取れ、掲示の場所も通過する場合には目に入られない個所。
記録簿による入退館の管理は全く有名無実化しており、防犯カメラ設置や各所に
いたずらや犯罪に関する警告の文言が記載されているが、被告は犯罪目的で立ち入
ったわけではなく、被告の立ち入りを禁じる旨を伝えるとはいえない。
【結論】
内部的には政治目的のビラ配布目的も含め立ち入りが禁じられていた事実は認め
られるが、その意思表示が来訪者に伝わるような表示がされていたとはいえない。
管理者の意思に反する立ち入り行為を被告がしたとしても「正当な理由」がない立
ち入り行為と解することもできない。
一般的には社会通念上、本件のようなビラ配りが当然に禁じられていたともいえ
ず、被告の立ち入り行為は住居侵入罪を構成する違法な行為とは認められない。
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