http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/30158/
イスラム教徒が米国の下院議員の就任宣誓で、キリスト教の聖書ではなく、イスラム教の聖典コーランを手に宣誓することは許されるのか。
11月の米中間選挙で、イスラム教徒として史上初めて下院議員に当選した民主党のキース・エリソン氏(43)=中西部ミネソタ州選出=が、来年1月に予定される宣誓の際、コーランを手に宣誓すると表明し、全米に波紋を広げている。
憲法で保障された信教の自由か、それともキリスト教を中心とする米国の伝統を尊重すべきかで議論が沸騰している。
1日付の米紙USA TODAYなどによると、エリソン氏は来年1月4日に予定される就任式で伝統的な聖書を拒み、「コーランを手に宣誓する」と宣言した。
これに対し、ウェッブサイト「Townhall.com」上のコラムで、保守系コメンテーターのデニス・プレガー氏が「米国の伝統を傷つける」「聖書で宣誓できないのなら、下院議員を務めるべきでない」と猛反発した。
プレガー氏の批判をきっかけに、このサイトには約800通のコメントが寄せられ、賛否両論の議論が繰り広げられる事態となった。
保守系のブロガーは「米国はキリスト教国だ」「イスラム教徒は最近、過大な影響力を持ち始めている」としてコーランでの宣誓を批判。一方、「米国は政教分離だ」「信教の自由は憲法で保障されている」といった擁護論も展開された。
プレガー氏のコラムが掲載されて以来、ミネソタ州のエリソン氏の事務所には、議員辞職を求めるなど数百通の抗議の電子メールが殺到したという。
しかし、エリソン氏側は宣誓でコーランを携える初の議員になると主張。「憲法はどの聖典を手に就任宣誓することも認めている。これは信教の自由の問題だ」と反論している。
一方、プレガー氏は、自分はユダヤ人だとしたうえで、「米国の長い歴史上、新約聖書を認めることができないユダヤ教徒でさえ、公職に就く際には、(キリスト教の)聖書で宣誓してきた」と主張。
そのうえで、プレガー氏は、エリソン氏が言うように、誰もが自分の好きな聖典を選んで宣誓ができるのなら、人種差別主義者が議員に選ばれた場合、ナチス・ドイツの“バイブル”であったアドルフ・ヒトラー総統(1889〜1945年)の著書「わが闘争」で宣誓することを認めることになってしまうと反論した。
4年ごとの大統領就任式で聖書に手を置いて宣誓する場面は有名だ。しかし、下院の実際の就任宣誓は、初登院した議員が本会議場に集まり、右手を挙げて宣誓文を唱和する形式。米国民がイメージする聖書を手に議長の前に立つ場面は、実は写真撮影のためだと議会事務局では説明、「希望するなら何を持ち込んでも構わない」という。
USA TODAYによると、就任で聖書以外の聖典を持ち込んだケースでは、キリスト教の一派のモルモン教徒の上院議員が、独自の聖典「モルモン書」を手にした例があるという。
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モルモン書もコーランも聖書の流れをくむというか、その流れの下流に出現した聖典と言えるからです。もっともモルモンはキリスト教(系)と見なされるのに対し、コーランは別の大きな宗教(イスラム教)の位置を占め(内容も異な)るため、米国では難しい面があると思いますが。