1月27日付・読売社説(1)
[ライブドア]「メディア批判と『不明』は別の問題」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060126ig90.htm
ライブドア事件が、国会論戦の焦点の一つになっている。
衆院予算委員会の審議で民主党が主に追及したのは、証券取引法違反容疑で東京
地検に逮捕されたライブドア前社長の堀江貴文容疑者を、自民党が昨年の衆院選で
応援した問題だ。
武部幹事長は、「当時、違法行為は知られていなかった」と釈明している。だか
らといって、全く責任がなかったとは言えまい。小泉首相は「事件と自民党幹部の
応援とは別の問題」と言うが、党総裁としての説明責任がある。
堀江容疑者は、自民党の要請で、広島6区から無所属で出馬し、落選した。自民
党は武部幹事長や当時の竹中経済財政相らが選挙区入りし、応援した。
首相は、「エールを送りたい」とし、武部幹事長は、堀江容疑者を「わが弟、息
子」とまで言った。
竹中氏は、「ビジネスで成功しているのに、わざわざリスクをとって、国のため
に戦おうとしている」と、小泉改革の“成功”の象徴のように持ち上げた。「小泉
首相とホリエモンと私が改革のスクラムを組む」とまで語っている。
だが、「稼ぐが勝ち」と広言し、カネもうけのためなら、違法でなければ何をし
てもいい、という堀江容疑者の考え方は、既に広く知られていた。
当時、堀江容疑者は相次ぐ企業買収でライブドアを急成長させ、得意の絶頂にあ
った。自民党は、「時代の寵児(ちょうじ)」ともてはやされる堀江容疑者を選挙
の広告塔に利用しようとしたのだろう。
堀江容疑者の側にも、小泉首相や自民党と接近することが、自らの事業拡大に役
立つという判断があったとされる。
首相はさすがに、先の代表質問後、「不明と言われれば甘んじて受ける」と語っ
ている。行き過ぎた市場原理主義の弊害に対する認識があれば、堀江容疑者に出馬
を求めることはなかったはずだ。
疑問なのは、首相が、衆院予算委審議で「メディアが騒いで、(堀江容疑者を)
時代の寵児のように扱った」と、メディアを批判したことだ。
確かに、「話題になりさえすればよい」という、テレビなど一部メディアに問題
はあった。だが、それで首相の「不明」が帳消しになるわけではない。
市場万能主義が、社会格差を広げている。市場ルールをないがしろにする風潮の
背景に、戦後教育の歪(ひず)みがもたらした規範・倫理意識の衰退がある――。
市場監視機能などにとどまらず、ライブドア事件をめぐって様々な問題点が指摘
されている。今後、さらに論議を掘り下げていく必要がある。
(2006年1月27日1時56分 読売新聞)
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